演技派で売り出して、気の抜けた娯楽作で白人の相棒役で(二番手の)看板を張る、といったブラツクスター定番コースをとらなかったのがウェズリー・スナイプス。
もっぱらアクション路線でクリーンヒットを放っている。
加えて、共演の白人スターに曲者ばかり並んでいるのも面白い。
『パッセンジャー57』のブルース・ペイン
『ハード・プレイ』『マネートレイン』のウディ・ハレルソン
『ライジング・サン』のショーン・コネリー
『デモリションマン』のシルベスター・スタローン
『三人のエンジェル』のパトリック・スウェイジ、ジョン・レグイザモ
『ボイリング・ポイント』のデニス・ホッパー
『ドロップ・ゾーン』のゲーリー・ビジー
『ザ・ファン』のロバート・デニーロ
『ブレイド』のスティーヴン・ドーフ、クリス・クリストファーソン
『アート オブ ウォー』のドナルド・サザーランド
などといった顔ぶれ。
最近はいささかパワーレベルがダウンしてきているが……。
巻き返しを期待しよう。
観落としていたのが、『三人のエンジェル』
スナイプス、スウェイジ、レグイザモ。女装の競演がナントモ……。
『ブレイド』シリーズは「非純血」のヴァンパイアが吸血鬼ハンターになるという設定。スナイプスの主演は三部作で終わった。
最新作は、『ギャロウ・ウォーカー 煉獄の処刑人』
マカロニウェスタンとゾンビ・アクションとホドロフスキー的悪趣味の合体。
自分の殺した相手が不死のゾンビとなって彷徨う、といったややこしい「オキテ」を定められた殺し屋の宿命。
これは、やはり『ブレイド』のヴァンパイア・ハンターの「煉獄」に通じているようだ。純血種ではない故に、自らの種族を裏切って敵対するしかない呪われた宿命を背負う男。
白人の支配する世界で、黒人が白人ヒーローの「代理」を努めることは可能なのか。その矛盾をつきつめたところに出現する逆説的なヒーローだ。