サミュエル・L・ジャクソン 『187 ワンエイトセブン』 98年10月
よくある「暴力教室」もの。
なかでも、ダントツの後味の悪さで記憶にまとわりついている。
とはいえ、サミュエル・L・ジャクソンの過剰すぎるオーバーアクトが、かえって救いだったような。
後から思い出すと、笑えてくるのが不思議だ。
ある意味、最もタランティーノ・スタイルの黒人スターがサミュエル・Lだ。
『パルプ・フィクション』でジョン・トラヴォルタと殺し屋コンビに扮して、無駄口を応酬する移動(任務を果たしに行く)シーンなど。
これはタランティーノがエルモア・レナード小説の映画的タッチを、フィルムに反転させることにみごと成功したシーンでもあるが。
ジャクソンの持ち味を余すところなく切り取った。
アフロヘアのズラが徹底的に似合っていないところも、また得がたい個性なのだ。
後につづく、この人の複雑な陰影とさまざまのキャラクターのすべてはココから発しているような。
ブラック・タフガイの外見で凄んでみせるほど滑稽で笑えてくる。
『シャフト』 02年6月8日土曜
このリメイク版『シャフト』なんかがいい例だろう。
並べてみたのは、オリジナル版『黒いジャガー』(1971)
『ノー・グッド・シングス』 (2002) 『フリーダムランド』 (2006)
作品リストを見なおしてみると、じつにいろいろと多彩に登場しているな。
アメリカ大統領役もあったし。
何を演っても、サミュエル・Lが突出してしまう。
黒いセールスマンとか、ホラー・ホテルの支配人とか、蛇使いの狂信者とか。
フツーでない男をフツーに「地」で演じてしまうので、観るほうの有り難みも目減りするのかもしれない。
『ノー・グッド・シングス』 と『フリーダムランド』。他の作品は、申し訳ないことながら、ごっちゃになっている。