白人に見える黒人男詐欺師の話。
「白い肌の黒人」の物語は、古くからあるようだ。
ジェームズ・ウェルドン・ジョンソン『もと黒人の自伝』(1912)、
ネラ・ラーセン『白い黒人』(Passing 1929)
などは翻訳されている。
パッシングとは「白人のふりをして生きる」ことを指す。
パッシング・ノベルと命名される傾向が(今なお)あるわけだ。
アイスバーグ・スリムの原作による『トリック・ベイビー』は、詐欺師コンビの犯罪小説。
映画は未公開で、知る人は少なく。
原作が翻訳されたのも、作者の死後。
話題になるための条件は、残念ながら、そろわずに終わった。
スリムには『あるポン引き野郎の肖像』というフィルムもある。
小説も実人生に劣らず「面白い」キャラクターなんだが。