カーレン・トーセン『ハーレム135丁目』89年製作
1992年9月26日土曜
Oh poor Jimmie, 気の毒なジミー、貧しかったジミー。
『ハーレム135丁目 ジェイムズ・ボールドウィン抄』を観て、胸を去来したのは、おおよそそういう想いだった。
それでしかなかった。
気の毒なジェイムズ、その豊かな才能に見合うだけの傑作すら書くことができず、去ってしまった。
師であり、友人であったリチャード・ライトを非難するつまらない貧しい文章を書き、ヘンリー・ジェイムズ的な巡礼物語『もう一つの国』が代表作であるような、文学的生涯。
それもまた「アメリカ人の生活には第二幕がない」ことのありふれた例証にすぎなかったようだ。
2015-10-27